黒岩重吾著「役小角 仙道剣」を読む。役小角は、奈良時代の呪術者である。実在の人物だが、伝えられる人物像は後の伝説によるところが大きい。仏法を厚くうやまった優婆塞<うばそく>(僧ではない在家の信者)である。通称を役行者(えんのぎょうじゃ)と呼ばれ修験道の開祖とされている。葛城山の地を牛耳る「鴨氏(賀茂氏)」の出である。
役小角は、厳しい律令制度に虐げられる人々を救うために、異能を駆使して権力者に立ち向かう。鬼神の如き活躍を慕って多くの弟子たちが葛城山中に集結、遂に一大勢力の中心となった役小角を狙って、時の権力者・持統天皇や藤原不比等、物部麻呂率いる刺客の群れが迫り来るが――。傑出したパワーで古代史に名を轟かせた異才の半生を描く古代ロマンの巨編。
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