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2014年4月27日日曜日

史記 武帝紀 七

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北方健三著「史記 武帝紀 七巻」読み終えました。最終巻です。



[E:book]




前漢の中国。老いを自覚する武帝・劉徹は、漠然とした不安を抱いていた。宮中に蔓延る巫蠱の噂。その嫌疑をかけられた皇太子は、謀反の末、自死を遂げる。国内の混乱をよそに、匈奴との最後の戦いが迫っていた。敗北を続ける将軍・李広利は、その命を賭け、敵将の首を執拗に狙う。一方、匈奴に降り右校王となった李陵は、故国への想いを断ち切るかのように最後の戦いに向かう。亡き父の遺志を継ぎ、『太史公書』を書き上げる司馬遷。そして極寒の地に生きる蘇武は、友と永遠の絆を紡ぐ――。北方版『史記 武帝紀』感涙の完結。





武帝はもちろん李陵や蘇武、桑弘羊、司馬遷のそれぞれの「生」の意味と「死」の受け入れ方が明確に描かれていきます。水滸伝に見られる壮絶な漢(おとこ)の生き様ではなく、淡々と自己の身に起きた運命を受け入れ、その中で「どう生き続けていくか」を淡々と考える姿もまた漢(おとこ)の在り様なんだと思わせてくれます。





「岳飛伝」早めの文庫本化を期待しております。


2013年11月8日金曜日

史記 武帝紀4

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北方健三著「史記 武帝紀4」読み終えました。



[E:book]




前漢の中国。匈奴より河南を奪還し、さらに西域へ勢力を伸ばそうと目論む武帝・劉徹は、その矢先に雀去病を突然の病で失う。喪失感から、心に闇を抱える劉徹。一方、そんな天子の下、若き才が芽吹く。泰山封禅に参列できず憤死した父の遺志を継ぐ司馬遷。名将・李広の孫にして、大将軍の衛青がその才を認めるほどの逞しい成長を見せる李陵。そして、李陵の友・蘇武は文官となり、劉徹より賜りし短剣を胸に匈奴へ向かう―。北方版『史記』、激動の第四巻。



2013年8月31日土曜日

史記 武帝紀三

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北方謙三著「史記 武帝紀三」完読。



[E:book]




武帝・劉徹の下、奴僕同然の身から大将軍へと昇りつめた衛青の活躍により、漢軍は河南の地に跋扈する匈奴を放逐する。さらに、その甥にあたる若き霍去病の猛攻で、匈奴に壊滅的な打を与えるのだった。一方、虎視眈々と反攻の期を待つ、匈奴の武将・頭屠。漢飛将軍と称えられながら、悲運に抗いきれぬ李広。英傑去りしとき、新たなる武才の輝きが増す―――。北方版『史記』、風雲の第三巻。





やっと李陵が登場しました。後半の主人公であるのは間違いない。これからが楽しみです。


2013年6月29日土曜日

史記 武帝紀ニ

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北方謙三著「史記 武帝紀ニ」3ヶ月ぶりにが発売された。早速1日で読み終える。







[E:book]中国前漢の時代。若き武帝「劉徹」は、匈奴の脅威に対し、侵攻することで活路を見出そうとしていた。



成果を挙げ、その武才を揮う衛青は、騎馬隊を率いて匈奴を撃ち破り、念願の河南を奪環することに成功する。




一方、劉徹の命で西域を旅する張騫は、匈奴の地で囚われの身になっていた―――。




若き眼差しで国を旅する司馬遷。




そして、類希なる武才で頭角を現わす霍去病。




激動の時代が今、動きはじめる。北方版『史記』、待望の第二巻。




武帝の前半戦が続きます。まだ名君と呼ぶにふさわしい時代に武帝です。いよいよ、司馬遷が登場。中島敦「李陵」へと話は展開していくのは何巻まで待てばいいのでしょうか。二巻も、衛青の活躍に終始。そして、霍去病の素質が現れはじめる時代です。早く三巻が読みたい。






2013年4月28日日曜日

史記 武帝紀一

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北方謙三著「史記 武帝紀一」文庫本化。やっぱり我慢できずにすぐに買ってしまいました。そしてすぐに読破。「風の王国」同様、次巻を2ヶ月待たねば・・・・



[E:book]





匈奴の侵攻に脅かされた前漢の時代。武帝劉徹の寵愛を受ける衛子夫の弟・衛青は、大長公主(先帝の姉)の嫉妬により、屋敷に拉致され、拷問を受けていた。脱出の機会を窺っていた衛青は、仲間の助けを得て、巧みな作戦で八十人の兵をかわし、その場を切り抜けるのだった。後日、屋敷からの脱出を帝に認められた衛青は、軍人として生きる道を与えられる。奴僕として生きてきた男に訪れた千載一遇の機会。匈奴との熾烈な戦いを宿命づけられた男は、時代に新たな風を起こす。





史記を取り上げるのに、最後の本紀 第12巻 孝武本紀からですか。さすが、北方先生。司馬遷の時代をどう描き出すのか楽しみです。


そもそも、武帝といえば中島敦の「李陵」を思いだしますが、「衛青・張騫」ときましたか。これまた男の描き方が楽しみです。


2011年12月18日日曜日

北方謙三 三国志1-13巻再読中

月初のゴルフ合宿でお小遣いを使いすぎたので、倹約のため本代をうかしたい。よって只今北方謙三の三国志 全13巻再読中。現在9巻目。北方三国志の人物像で面白いのは、なんといっても張飛。呂布・馬超もなるほどという描き方。そして孟達。こいつが鍵を握る重要人物として、またその有り様を誰よりも浮き彫りにしているところは必見だ。赤兎馬のように怒涛で読み進もう!!

2011年7月3日日曜日

杖下に死す/独り群せず

PhotoPhoto_2先週から、北方謙三続けて4冊続けて読んでしまいました。そういえば、とうとう「楊令伝」文庫本でました。待ち切れずに単行で読んでしまいましたが。さて、今回のこの二冊は、同じ主人公です。「杖下に死す」は、米の買い占めにより困窮する大坂の民たち。幕府お庭番の家系につらなる剣の遣い手 光武利之が、大塩一党の動きと幕府の策謀をあばき出す。胸奥を揺さぶる男の友情、幕末前夜を描く歴史物語。「独り群せず」は、大塩の乱から二十余年。剣を揮う手に庖丁をもちかえ、既に船場の料亭「三願」からも隠居を決め込んだ利之。乱世の相は商都・大坂にも顕われ始め、時代の奔流が、穏やかに暮らす利之を放ってはおかなかった…。信念に基づき命を賭す男たち。『杖下に死す』の続編となる歴史長編である。

主人公の光武利之と大塩平八郎の息子格之助の友情と利之の生き様はだけでなく、利之の妻となる「お勢」の凛とした強さにも惹かれる。「独り・・」で登場する土方は、「黒龍の柩」にない部分が描かれており、おもしろい。

やはり北方の歴史物は個性が際立っているところが最高なのだろう。




2011年6月26日日曜日

絶海にあらず 上・下

12久しぶりに北方謙三著に戻る。やはりおもしろい。本書は、承平・天慶の乱の首謀者として将門とともにその名を知られる瀬戸内の「海賊」藤原純友を主人公として、己の生きる道をみつけ国のありようを考えようとする姿を描いています。
[E:book]京都・勧学院別曹の主、藤原純友。坂東への旅で若き日の平将門との邂逅を経て、伊予の地に赴任する。かの地で待っていたのは、藤原北家の私欲のために生活の手段を奪われ、海賊とされた海の民であった。「藤原一族のはぐれ者」は己の生きる場所を海と定め、律令の世に牙を剥く!渾身の歴史巨篇。

北方水滸伝の原点のような書です。是非ご一読を。




2010年12月31日金曜日

楊令伝13.14.15

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しばらく置いていた「楊令伝」13.14.15巻読破しました。これにて完結。北方水滸伝から数えて34巻+1。しかしまだまだ、続く見たいです。そういう終わり方ですから。「岳飛伝」として・・・。しかしそれにしてもこんな最後だとは????読んでいない方のために何も書きませんが。個人的には、期待が大きかっただけに少し不満です。14巻からは、しょうがなく梁山泊の好漢達を死に追いやるしかなかったのだろうか。ただ、生を終わらせるだけの、とってつけた死が痛ましくもある。まあこれだけ多くの人物がいるのだから仕方ない面もあるが。しかし、やはり読み物としては最高におもしろかったです。



2009年7月31日金曜日

楊令伝

001a 北方謙三著 「水滸伝」の続編である「楊令伝」 第10巻目読み終える。2ヶ月で1巻の発売だから、読み始めて早1年8ヶ月が過ぎ去ろうとしている。10巻で終るといわれていたが、全くその気配はない。水滸伝も19巻までいった。はたして「楊令伝」は何巻まで続くのやら。



2008年6月4日水曜日

水滸伝MAP 届く

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北方「水滸伝」のプレゼントを応募していた。今日届く。人物相関図&梁山泊地図&絵葉書だ。早速、壁に貼っておこう。



2008年5月26日月曜日

草莽枯れ行く

Photo 幕末時代小説、北方謙三「草莽枯れ行く」を読む。勝海舟、西郷隆盛、坂本龍馬、土方歳三、岩倉具視、山岡鉄舟、新門辰五郎ら同時代の有名人と次郎長は関わってゆく。任侠の清水の次郎長の目を通して、時代の影に葬り去られた男の清清しい生き様を訴えていく。そして偽官軍として処刑された赤報隊を率いた草莽の志士「相楽総三」にクローズアップ。余程でないと知らない人物だ。怪物 西郷・策士 岩倉に嵌められ、汚名をきせられ志は立たれる。信念を胸に一直線に生き、闘った彼を唯一の友と呼んだ薩摩藩士 益満休之助を登場させているのもおもしろい。



もう一人の草莽にして巨人、坂本龍馬が、休之助に語る。「草莽は枯れ行く。そしてまた新しい草莽が芽吹く。それを繰り返し、無数の草莽が、大地を豊かにしてゆく。やがていつか、その大地から大木の芽がでることもある



2008年4月23日水曜日

文庫 北方水滸伝 完読

北方水滸伝 第19巻読み終わる。1年2ヶ月前に読み始め、一気に6巻を読んだ。それから月に1巻ずつしか出版されない。ひと月に1冊。いつも待ち遠しかった。しかし、後半になるにつれ終わらないで欲しいと思った。昔、北方三国志13巻を読んだが、これほどの感動はなかった。三国志フリークだし、三国志物は100冊以上を読み漁っている。自分の中で、キャラクターが出来上がっていて、こういう描き方もあるかくらいの感想だった。しかし水滸伝は、違った。名作だ。同名の人物があるだけでそこには全く違う水滸伝が描かれていた。ありがとう北方謙三さんと言いたい。時間ができれば、1巻ずつ感想を書いていきたい。



あまり本は読まない大学生の息子が、何故か自宅の書斎から取り出し、北方水滸伝だけは読んでいる。この良さは男しかわからないような気がする。それを息子も夢中になって読んでいるのが妙に嬉しい。さてこれで、「楊令伝」にいける。



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悪党の裔  道誉なり  陽炎の旗



波王の秋



黒龍の柩







2008年1月14日月曜日

波王の秋

Photo北方謙三「波王の秋」を読んだ。時代は南北朝。肥前の浜辺に一人の男が泳ぎついた。密使・竜知勝だった。済州島のナミノオオ水軍は、元と高麗の二重支配から逃れ独立を目指しおり、上松浦党水軍は第3の元寇を未然に防ぎ海を守っていた。竜知勝を通じて済州島のナミノオオは、上松浦党水軍に手を結ぼうと持ちかける。やがて両軍の後押しで、波王水軍が旗揚げされた。若き上松浦党の後継・小四郎を大将として。海を祖国を護らねばならない。熱き思いを胸に秘め、小四郎が立ちあがる。敵は、強大な元朝。海を埋め尽くす大船団へ、必殺「胡蝶の陣」を操り決死の覚悟で挑む。南朝も北朝もない。海に生きる男たちは、陸の領地争いなどには興味を持たず、自分たちを生かしてくれる海を恐れつつ愛してやまない。



「死ぬ時。いまがそうだ、と思った。闘いきった。生ききったということだ。」



継ぐということと、紡いでいくということ。その刹那と恒久の価値が、自分の使命を果たすべき秋(とき)に見出せればよい。決して日本史には登場しない海の男の闘いとロマン。一気に読んでしまいました。



2007年11月18日日曜日

黒龍の柩

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北方謙三「黒龍の柩」を読む。時は、幕末。時勢は否応なく男たちを呑み込んで行く。土方歳三も、人を斬りながら新選組の活路を探し続けた。親友・山南敬助の捨て身の切腹、同志・近藤勇との別れの予感、弟分 沖田総司の死の予感。近藤は新撰組組長として死ぬことを選ぶ、沖田も剣のみで行き抜くことを考え死んでいく。そして土方は、勝海舟・小栗忠順と出会い新撰組の後の有様を捜し求める。坂本龍馬が暗殺の直前に語った計画に、新選組の未来と己の夢を賭ける。不戦・蝦夷地新国家。しかし、おのが権力に万全を期す西郷がそこに立ちはだかる。ちなみにこの小説で北方は、龍馬暗殺を西郷隆盛陰謀説をとっている。(私は同感)五稜郭での闘いの前の「死を覚悟して闘うが、死ぬために闘うのではない。」という歳三の言葉が印象的だ。



さて函館市には、「碧血碑ヘッケツヒ」という戊辰戦争、特に箱館戦争戦死者を弔う旧幕府軍側の墓がある。「碧血」とは、中国の書 荘子の外物篇にその語が見られる。「藏其血三年而化為碧」。意味は、「忠節に殉じた臣の血は、三年蔵されると碧玉に化す」である。



2007年11月4日日曜日

陽炎の旗

Photo 北方謙三 南北朝シリーズ「陽炎の旗」を読んだ。これにてシリーズものをすべて制覇。後醍醐天皇の皇子・懐良親王が肥後の菊池武光とともに、九州統一を目指す「武王の門」の後日譚にあたるが、架空の人物によって物語りは進んでゆく。その架空の人物とは、足利直冬の嫡男・足利頼冬、前征西将軍宮・懐良親王が息子・月王丸と孫の竜王丸だ。時は、三大将軍足利義満の時代。天皇家をなくし自ら王たらんとする義満。おのが親王の血をひいているが故に天皇家を一つにしたいと願う月王丸。相反する方法で南北朝の動乱に終止符を打とうとしている2つの勢力下で、男の夢をかけた闘いが繰り広げられる。義満の野望に己の武人としての人生を賭け暗躍する管領職・斯波義将。九州探題の兄・今川了俊の地位を守り、斯波を牽制する今川仲秋、南北朝合一を画策し、敢えて変節漢の汚名をきた楠木正儀(波木)、斯波家の侍大将で頼冬と剣の勝負を決せんとする大野武峰(架空)などキャラクターは多彩だ。虚構のヒーロー「足利頼冬」を通し、歴史の光明を見出す渾身の力作といえよう。そして相変わらず男たちが恰好よい。クライマックスの大野武峰との一戦は、戦闘シーンは短いながら、本を読むだけで固唾を飲むような迫力である。「業のようなもの」「宿運」で、頼冬は、第三者から見ればやる必要のない武峰との戦いに臨む。彼らが賭けているものは何であろうか。「男」。



2007年10月12日金曜日

道誉なり

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北方謙三「南北朝シリーズ」も、とうとう五冊目。あとは、「陽炎の旗」のみ<水曜日に東京にて購入済>。バサラ大名として名をはせた佐々木道誉と足利尊氏に焦点を絞った作品だ。楠木正成・赤松円心・北畠顕家・菊池武光・大塔宮などこの時代、後醍醐天皇にかかわった男たちは、北方謙三により、見事に男の魅力を見せ付けた。今回の道誉と尊氏もおもしろい。バサラ・狡猾・策略家といわれながら終始、尊氏を支えた道誉の心意気は捨てがたい。そして尊氏いてこそ、道誉も輝く。また、ここでは脇役である足利尊氏の心理・生き方が特に巧く描かれており、おもしろかった。しかしそれにしてもこの時代は、複雑怪奇で知られていないことが多く、北方シリーズは、知識欲を十分に刺激してくれた。感謝・感謝。



2007年9月17日月曜日

悪党の裔

Photo_3 2_2 北方謙三 南北朝シリーズ「悪党の裔 上・下」を読んだ。播磨の悪党 赤松円心を描いた作品だ。楠木正成が河内千早城で数十万の大群をわずか数百で対峙している時、絶妙のタイミングで播磨にて挙兵。京都へ向かってひた走る。倒幕の流れを一気に掴む。その戦略眼。しかし後醍醐天皇の新政に早々と見切りをつけ、次の流れまでじっと身を潜める。その後、武士の時代は止めようもないと、尊氏を支援。円心は時代の流れを見事に読みきり、悪党として狡猾に生きていく様が描かれている。しかし、そこには、自分の力で世の中(流れ)を動かしてみたいとう夢がある。そしてそれを見事に達成する。善悪を超越して自分の生きる道をひたすら突き進む 円心の生き方は、好き嫌いの分かれるところであろうが、私はこの時代であれば、そうした生き方もあるのかと思う。楠木正成がこの時代の光りなら、赤松円心は影とというところか。



2007年8月15日水曜日

楠木正成



Kusumasa1_3 Kusumasa2_2北方謙三 「楠木正成」上・下 先週読みおえた。南北朝きっての英雄 楠木正成を如何に北方氏が描くか興味があった。夢に賭け夢に滅ぶ悪党としての姿。そこには七生報国も大楠公としての有様も存在はしない。ただ燃え尽きた男の姿だけがある。英雄然とした姿でなく、その一個の人間としての描き方に共感を覚えた。北方「正成」には、桜井の別れも湊川の合戦もいらない。だから書かずに終る。私はそれでいいと思う。また武士の棟梁としての足利尊氏との生き方の比較もおもしろかった。そして相変わらず「男」は恰好いいです。たぶん北方氏が一番惚れているであろう「大塔宮」や「赤松円心」「楠正季」など自分を貫く姿がそこにある。ぜひご一読を。



2007年6月10日日曜日

武王の門

Buou1 Buou2  北方南北朝シリーズ「武王の門」読みました。九州での男の闘いを見事に描いた秀作です。征西大将軍若宮 懐良親王(後醍醐天皇の一子)と肥後の名将 菊池武光が、九州を統一し、朝鮮半島の高麗や中国大陸の明と接触することで、全く新しい独立国家の建設を夢見るという壮大なドラマ。足利幕府軍、九州の守護たちとの壮絶な合戦。すべてに引き込まれることでしょう。闘う男達の心情を両者の視点から捉える筆さばきは、読む者を興奮させずにはいられません。正直、全く歴史の教科書にも登場しないこの史実を調べて驚きでした。まさに盲点。先月書いた「破軍の星」同様、山の民も登場しますが、倭寇と呼ばれた水軍達も登場します。あぁ こういう闘いもあったのだ感心させられました。そしてやっぱり、敵も見方も「男」がカッコイイからたまりません。ある時は迷い,ある時は立ち止まり、それでも真っ直ぐ前を向いて、自分の生き方に恥じない行動をとる男達。二十数年と長い歳月がそこには流れるが、軸は一歩もずれない。最高の一冊です。