2008年5月31日土曜日

古代からの伝言 日本建国

1 また、暫く続けて読んでいけるシリーズを発見。角川文庫から出ている八木荘司著「古代からの伝言 シリーズ」。まずは、「古代からの伝言 日本建国」から読む。本書は、魏志倭人伝より、当時の中国、三国時代に魏が、敵国 呉との決戦に備え、その東に位置する倭国を纏める「邪馬台国」との関係強化を図るために、卑弥呼に金印や銅鏡を惜しげもなく贈ったいきさつから始まる。史書に残る言葉から氏は、邪馬台国の位置は近畿説をとっているようだ。小説風に進む展開と解説で非常に読みやすい。また、魏の司馬忠達の魏国外交政策に、既に国際性を持っていた邪馬台国が関わっているところが面白かった。次にくるのは、「神武東征」である。ここには、魏志倭人伝に登場する「狗奴国」なる国が、天孫族が大和の南に最初に打ち立てた国であるとする。そして、その北側、山背あたりに邪馬台国が存在したと。狗奴国は熊野国が訛ったとしている。倭人伝に登場する「倭国大乱」の原因は、まさに神武一族に大和進出と征服の過程というもの。中々の論証である。その後、崇神天皇から日本尊のところまでが、本書に登場。日本古代史を紐解く良きシリーズのような気がする。



2008年5月26日月曜日

草莽枯れ行く

Photo 幕末時代小説、北方謙三「草莽枯れ行く」を読む。勝海舟、西郷隆盛、坂本龍馬、土方歳三、岩倉具視、山岡鉄舟、新門辰五郎ら同時代の有名人と次郎長は関わってゆく。任侠の清水の次郎長の目を通して、時代の影に葬り去られた男の清清しい生き様を訴えていく。そして偽官軍として処刑された赤報隊を率いた草莽の志士「相楽総三」にクローズアップ。余程でないと知らない人物だ。怪物 西郷・策士 岩倉に嵌められ、汚名をきせられ志は立たれる。信念を胸に一直線に生き、闘った彼を唯一の友と呼んだ薩摩藩士 益満休之助を登場させているのもおもしろい。



もう一人の草莽にして巨人、坂本龍馬が、休之助に語る。「草莽は枯れ行く。そしてまた新しい草莽が芽吹く。それを繰り返し、無数の草莽が、大地を豊かにしてゆく。やがていつか、その大地から大木の芽がでることもある



2008年5月24日土曜日

アルペジオーネ・ソナタ



Schubert_2雨の日の今日は シューベルト 「アルペジオーネ・ソナタ イ短調 D821」を聴こう。しっとりと。



アルペジオーネというギターに似た楽器が19世紀中期頃にわずかだけ存在していた。またの名を、<ギターレ・ダムール><ギターレ・ヴィオロンチェロ>という。今は、忘れ去られた楽器だ。シューベルトのこの曲名でしか知ることができない。



勿論現代は、主にチェロ、そしてヴィオラにて演奏される。



シューベルトらしい憂いと翳りがにじみ出てくる曲だ。チェロに寄り添うピアノがまた切ない。それでは聴いてください。演奏は、マイスキー&アルゲリッチです。



arpeggione_sonata_a_minor_d821 (クリック)



にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ ←こちらもクリックお願いします。



2008年5月23日金曜日

今日の庭のバラ

Ca632cz8



本日、庭の写真再び届く。ピエール・ドゥ・ロンサールは満開に近い。隣のレオナルド・ダ・ヴィンチは開花し始めか。来週の土日に戻るので、何とか間に合いそうだ。



さて、このブログに検索エンジンで訪れてくれる方の検索ワードは、「留魂録」「モーツァルト」「石兵八陣」がいつもは圧倒的なのだが、今週だけは「バラ」「ピエール」「羽衣」が上位に。さすが5月だ。



2008年5月21日水曜日

孔子物語

Photo_2 中国人:丁寅生「孔子物語」を読む。5月の新刊だ。原書は、1935年、「孔子演義」とういものらしい。中国伝統の章回形式で書かれたものを、小説風に訳したのが本書。孔子の放浪の生涯を事実とされるエピソードと論語の言葉を散りばめながら、わかりやすく孔子の教育者としての姿、諸国に受け入れられなかった理由などを描いている。エピソードの中には、少し解釈が疑問なものもあるが、人間孔子としての姿がそこにある。弱気な孔子・ユーモアを解す孔子・怒れる孔子などなど。孔子を知る上でかなりわかりやすい本ではないだろうか。孔子は、中華の文化伝統を担ってゆく使命を天から授かっている者という自覚のもと、世直しを志、長い年月をかけ諸国を放浪しつづけ、人間の建て直しをめざして王たちを説きつつ、若い世代の弟子たちの教育に力を注いだ。やはり、弟子たちの目の前に自己の全てをさらけ出しながら、「これ丘なり」[論語・述而]というをはばからぬ人であったのだ。先に呼んだ白川静先生の「孔子伝」とともに是非、読んでいただきたい。孔子一番の弟子、顔回との掛け合いが少なかった所は少し残念であったが。



2008年5月19日月曜日

初めてのクラリネット ~ モーツァルトを語る 第52弾

Milano1_3モーツァルトとクラリネットと言えば、既に紹介した、K581K622であることは誰も否定しがたい事実だろうが、第52弾は、モーツァルトが初めて、クリネットを用いた作品「ディヴェルトメント 第1番 変ホ長調 K.113」を紹介したい。たぶんイタリア旅行(ミラノのマイヤー邸にて)で初めてクラリネットに触れ、すぐさま作品を作りたかったのだろう。<ザルツブルクのオーケストラには、少なくとも1777年までは、クラリネット奏者がいなかったようだ。)クラリネットは、モーツァルトが生涯愛した楽器だ。この曲は、15歳のときの作品で、その後、第2稿としてオーボエ、イングリッシュホルン、ファゴットを追加している。特徴としては管と弦の交互の掛け合いだろうか。特に好きなのは、第3楽章のTrioだ。このトリオ部はト短調で極めて印象的だ。これに呼応して第四楽章の展開部にもハ短調のフレーズが少し出てくるのでおもしろい。最後に、変ホ長調は、結構お気に入りの曲が多く、名曲が多いことを付け加えておこう。ピアノ協奏曲第9番や22番、ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲、「魔笛」、交響曲39番、弦楽三重奏のためのディヴェルティメント などがそれだ。



それではお聴きください。k.113(クリック)



にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ ←こちらもクリックお願いします。



2008年5月17日土曜日

つるバラ ピエール・ドゥ・ロンサール

Photo_2



第2弾送ってもらいました。アンティークタッチのつるバラ「ピエール・ドゥ・ロンサール」です。このバラは、見ているだけで幸せになります。



2008年5月16日金曜日

聖教会最古の秘宝

Photo_2 Photo_3  ポール・サスマン「聖教会最古の秘宝」上・下巻を読む。パレスチナ女性記者、イスラエル刑事、エジプト刑事が挑むユダヤ人殺害は、意外な展開を見せる。その中には、中東紛争というアクチュアルな問題が含まれている。捜査ミステリーから歴史的発見への展開。そして国際的謀略スリラー。しかも登場人物の人柄も魅力的だ。結末も「それもありですか?」という意外な点も。暇つぶしには十分。ご一読を!!





・・・解読された古文書は、12世紀の十字軍騎士の手紙で、古代ユダヤの秘宝を発見したというものだった。疑念を抱きながら調査を進めるレイラだが、この秘宝にはヒトラーも強い関心を抱いていたことが明らかになる。一方、過去のユダヤ人殺しの捜査を進めていた刑事たちは、老人がナチスの残党であったことを突き止めたのだが…。複数の謎が絡み合いながら示す先にある秘宝とは!?・・・



つるバラ 羽衣

Photo



Photo



やっと 娘・奈津子が写メを送ってくれました。つるばら「羽衣」です。今年も見事に咲いてくれています。このバラが咲くと、ちっぽけな我が家の品が上がります。淡いピンクが目を和ませるのです。ここから、ピエール・ドゥ・ロンサール、レオナルド・ダヴィンチと次々とつるバラが我が家を包んでいきます。また、写メ 頼むぞ!!



2008年5月14日水曜日

飛鳥とは何か

Photo 梅原猛「飛鳥とは何か」を読む。本書は、「飛鳥とは何か」「死の聖化」「飛鳥をめぐる謎」の三篇からなる。



6~7世紀にかけて、王の都は、飛鳥を出たり入ったりした。(なんと5回ずつもだ)梅原氏は、この時代の紛れもない政治的拠点である飛鳥から、変革を求めるたびに、むしろそこから逃げ出さねばならなかったかを解き明かす。興味深い本であった。



残念ながら未だに「飛鳥」を訪れたことはない。大学時代、京都にいた時に行っておけばよかったと後悔している。



さて新しい考古学的な発見があるたびに日本のこの時代の以前の有様は根底から覆されたりしてるが、本書も今の時代では少し合わない所もあるようだ。しかし、その土地をめぐる権力者の力学が語られる時、見えてくるものもあるのだろう。梅原氏はさすが「歩いて観る、知る」哲学者だ。机上の歴史学者とは一味違う。



この時代以前の古代日本史は、本当におもしろい。謎が多くあるからだ、いや謎だらけだからだ・・・・



2008年5月12日月曜日

ゴルフ日和

Ooyodo1 昨日の雨が嘘のような青空。その上暑くもなく絶好のゴルフ日和。「宮崎大淀カントリークラブ」にてセルフプレー。アプローチとパットが好調。パーオンは少ないが、パーがとれる。2度昨日からの雨で重くなったバンカーで躓くが、42:47=89。やりました、なんとか80台をマーク。先日、7を叩いた、par3は見事リベンジのバーディー。満足・満足。



コースはここも家から20分。気分よく15時前には帰宅。



やはりゴルフ場が近いというのはいい。



2008年5月10日土曜日

雨の土曜日 ~ モーツァルトを語る 第51弾

Flute 雨の土曜日は、単身赴任者にはつらい。なにもすることがない。その上、意外に激しい雨。こんな日は、音楽を聴きながら読書するしかない。第51弾は、「フルート四重奏曲第2番 ト長調 K285a」から始めよう。フルートの柔らかな響きが気分を爽快にしてくれる。ましてちょっと飲みすぎた翌日には。K285aは、もともとK285の第1楽章に続いて、第1楽章がその第2楽章、第2楽章が第3楽章に位置づけられていた。しかしその後、紛失されていたとされていたド・ジャンのための四重奏曲の1曲がこの2楽章作品であるとされ、K285aとなった。



それでは聴いてください。



andante_quartet_k.285a (クリック)



tempo_di_menuetto_quartet_k.285a (クリック)





にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ ←こちらもクリックお願いします。



2008年5月9日金曜日

鹿野田神社

PhotoPhoto_2 今日、西都市へでかけたので「鹿野田神社」という所へ立ち寄りお参りとお祈りをした。



何もない田んぼ只中に鳥居があった。神社自体は主要道路からさらに逸れて田んぼの中を伸びる参道を200mほど進んだ奥にあり、海から12キロも離れた山間にある。





しかし、この神社にある井戸は、塩水なのだ。「鹿野田神社」の御祭神は、ヒコホホデミノミコトすなわち山幸彦だ。神話に登場する「潮満玉(しおみつたま)・潮涸玉(しおひるたま)」が、ご神体としてまつられている。



そして井戸の名前も「潮満玉の泉」という。山幸彦と結婚した海神の娘・豊玉姫が会うために、陸と海とを行き来した道と伝えられている。すこしスクって水を舐めてみた。本当だ。塩辛い。地元では、この社をもっぱら「潮(うしお)神社」と呼ぶ。井戸の水面は、潮の満ち引きに合わせて上下するのだという。不思議だ。



Photo_3



2008年5月8日木曜日

潮嶽神社

Photo_2 今日、外回りの際 途中で「潮嶽神社」へ5分ほど立ち寄りお参りとお祈りをした。



「潮嶽神社」は、北郷町にある祭神は、ホスセリノミコトすなわち海幸彦である。海幸彦は、ご存知のように山幸彦に負け、追われた神であり、他に海幸彦を祭る神社は存在しない。しかも、こんな山深い地に・・・。



神社の背後は飫肥杉の産地で、神話の里がどこもそうであるように、ここにも主祭神・海幸彦にまつわる地名が多い。



Photo_3潮嶽は、弟の山幸彦と釣り針のことで争ったとき、磐(いわ)船で満潮に乗り、越潮(こしおの)山に上陸、ここを潮嶽と称するようになったという。また、船から下りたところが「賢所」。ここは、禁足地となっており、ここには磐船が埋められていると伝える。さらに海幸彦が水鏡を利用し、みそぎをした池が「神池」、祭りのときアマテラスに酒食を出した場所を「饗(きょう)塚」という。



海幸彦が国内を治めた後、この地で亡くなり、潮嶽川上の陵に葬られたと言われ、潮塚があてられている。ちなみに「宿野」は、信仰を集めた同社の宿坊が立ち並んでいたことによるという。



土地では「海幸・山幸」の神話にちなんで、縫い針を他人には貸さない習俗がある。ホスセリは隼人族の祖とされ、日本書紀によれば隼人の声は、犬の遠ぼえに似ているとも書かれている。子供の初参りには、紅で額に「犬」の字を書き、病気封じをして強く育つよう祈願する。これも海幸彦にかかわるものとされている。おもしろい。





2008年5月7日水曜日

もっこうバラ満開

028



玄関側の「もっこうばら」は満開。フェンスがすべて隠れ、庭への通り道は、うまく花のトンネルを作ってくれた。



002 003













庭のバラは、まだまだ。しかしクレマチスは満開。



005



5月は本当は、毎日が楽しみで庭から目が離せないのだが、いたしかたなし。



宮崎へ帰着。あとは、奈津子の写メールの期待 [E:wink]





2008年5月6日火曜日

ローズマリー公園

022



今日は、館山の先にある「ローズマリー公園/シェークスピア・カントリーパーク」へかみさんと出かけた。館山まで高速が開通しており、行きはスムーズにたどり着いた。イギリスのストラットフォード・アポン・エイボンに住んでいたシェークスピアの家を再現させた場所だ。



017 019



023 美味しいローズティーを飲んだり、イベントで開かれていたクラシックの演奏会を聴いたりする 。それ程広いスペースもなく、有名でもないが意外に多くの人が訪れていたい。さすがゴールデンウィークだ。房総半島を海沿いに走り、お昼は「海鮮丼」を食べる。そのあと館山まで戻って喫茶店へ。コーヒー通なら誰でも知っている「SALVIA(サルビア)コーヒー」本店だ。かみさんは、サルビア・ブレンド、私は深煎りコーヒーを飲んだ。うまい!!



Photo 店の雰囲気もアンティーク(左・写真)でよかった。



帰りは、やはり大渋滞。抜け道を探しながら帰ったがどこの道も車・車・車。どこから湧き出したのかというくらいだ。恐るべしゴールデンウィーク。







2008年5月5日月曜日

北風に起つ

Photo 黒岩重吾「北風に起つ~継体天皇と蘇我稲目」を読み終える。継体天皇の即位には多くの謎が隠されており興味は尽きないが、そこは置いといて、この小説は、いかのようなあらすじ。



大和の大王(現天皇)家が雄略で途絶えてしまったので、大伴金村が画策し、北陸の地方豪族で大王家と薄い血縁の男大迹王(後の継体天皇)を大王として招聘しようとしたが、大和の諸豪族は、蛮族である男大迹王を認めない。山城(現京都府南部)まで出てきた男大迹王だったが結局大和には入れず、遂に追われるように弟国宮(現大山崎町あたり)まで撤退してしまう。大伴氏を勢力を削ぎつつ、如何にして蘇我氏の基盤を拡大してゆくべきか。その能力を存分に発揮した、蘇我稲目が物部尾輿と組んで、継体天皇の大和入りに手を貸し、その後の隆盛の基礎るというもの。



継体天皇の器の大きさ、稲目の将来を見据えた戦略には目を見張るものがある。連(むらじ)と臣(おみ)の違いもこの本でよく理解することができた。黒岩氏は多くの古代日本史の小説を書いており、昔に「天の川の太陽」「茜に燃ゆ 小説額田王」「天翔ける白日 小説大津皇子」「紅蓮の女王」などを読んだが、この一冊は読み忘れていた。中々、興味深い一冊であった。