2006年8月11日金曜日

カエサルを撃て

Photo_9 佐藤賢一「カエサルを撃て」を読んだ。本書の舞台となるのは、8年に渡るカエサルのガリア戦役のほぼ終局期に勃発したガリアの総蜂起。ガリア側にたった戦記としての物語の展開。定説にとらわれない想像力を駆動させて、全ガリアの命運を決するこの一大決戦をウェルトキンゲトリスクとカエサルとの一個の人間同士の争いとして描きだしている。ガリア制覇の緒から対ポンペイウス戦役を征するまでのあいだ、ほぼ負けるということを知らなかった常勝カエサルに地を舐めさせた稀有の好敵手ウェルトキンゲトリスクとは、いったいどんな人物だったのか。彗星のごとく現れ、文字通り全ガリアの期待の星となったこの青年に大きく軸足を置きながら、佐藤賢一版「ガリア戦記」は展開する。中年となったカエサルと青年ウェルトキンゲトリスクの攻防。ハラハラしながら一機に読み終えた。過去の栄光を持つカエサルが、目の前にある「戦闘」に目覚めたときから、突然に面白くなります。お勧めです。



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