2008年10月19日日曜日

白起

Photo 塚本青史「白起」を読む。



中国 戦国時代髄一の猛将にして軍神 白起を中心に、戦国時代の複雑な合従連衡の繰り返しがこの一冊でわかる。



秦の昭王14年、白起は韓・魏を攻めて伊闕で戦い、首を取ること24万。翌年、魏を攻めて61城を奪う。昭王20年、楚を攻めて都城の郢(エイ)を落とし、夷陵を焼き払い、東方の竟陵に達する。秦は楚から奪った郢に南郡を置き、白起は昇進して武安君と称せられる。昭王34年、魏を攻めて華陽を落とし、将軍芒卯を敗走せしめ、韓・魏・趙の将をとらえ、首を切ること13万。趙の将軍賈偃と戦って、黄河で2万の兵を溺死させる。昭王の43年、韓の徑城を攻め、首をとること5万。そして4年後、長平の戦いでの敗兵40万の穴埋め。



白起は戦場において卓犖(たくらく)としており、当代随一の名将であるが、上司である時の宰相・魏冉の私行に手を貸しつづけたという倫理の欠如が、生涯の瑕瑾(かきん)であり、その名が後世において暉映(きえい)を失ったともいえよう。しかし、范雎が白起の手柄に嫉妬せず、白起に邯鄲を攻めさせていたら、戦国時代はもっと早くに終っていたかもしれない。



本書には、故事成語は自然と織り込まれている。鶏鳴狗盗・完璧・漁夫の利。刎頚の交わりなどなど。また、隠し味としての「墨家」の登場もある。非常におもしろい本であった。



是非一読を。



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