2008年10月26日日曜日

晋作 蒼き烈日

Photo_4秋山香乃「晋作 蒼き烈日」を読む。



蹉跌と苦悩、矜持と自負からくる驕り、未来への切実な希望と理想。拭い去れない私欲も含め、長州きっての一代の英雄にして風雲児。、今日、日本があるのは彼のおかげといっていい男「高杉晋作」の人間という人間を見事に描いた、感動の巨編である。





久坂玄瑞との大儀で結ばれた友情、山田市之允への心の触れ合いと揺ぎ無い信頼。長州好きにはたまらないシーンの数々。その「山田市之允」がたぶん大好きでしょうがない作者は、必ずや高杉を描くと思っていたので、待ちに待った作品だ。



しかし本書で、目を引いたのは、妻「雅」への晋作の思いが、かくも多く描かれているところだった。他の作品では全くありえない。下関の芸者「おのう」と「雅」がでくわすシーンは、女流作家がなしえる深き哀愁であろうか。そんな晋作の歴史では見れない部分にまでこだわる作家の人間の描き方が気に入った。



「長薩同盟」へ流れる場面。裏切りとしたたかさを併せ持ち、幾多の辛酸を舐めさせられた、「狡猾にしてたただただ権力へ固執する薩摩」と敢えて日本の明日のために手を結ぶんだ、熱き晋作の赤心が見事に描かれています。



『僕が倒れても君たちがいる』松蔭の遺言ともいえる言葉。『君たちが僕の志を継いでくれる』あまりにも信頼に満ちた言葉である。あの信頼があったからこそ、どんなに膝をつくような出来事があっても、塾生たちは立ち上がることができた。決して困難に背を向けることなかった。常に前進し続けたその結果が再生した長州なのだ。



長州人ならずとも是非ご一読を!



秋山香乃 万歳!!



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