中国清朝末期、貧しき糞拾いの少年・春児(チュンル)は、占い師の予言を信じ、科挙の試験を受ける幼なじみの兄貴分・文秀(ウェンシウ)に従って都へ上った。都で袂を分かち、それぞれの志を胸に歩み始めた2人を待ち受ける宿命の覇道。
あまり触れることのない清朝の有り様、科挙の過酷さ、宦官の実態、満州旗人の出自など詳細さを極め、登場人物の個性を余すとことなく表現している名作だと感じた。列強進出の中、落日を迎える清王朝のもがき苦しみと同時に西太后の隠された一面を、ドラマを見るがごとき、アリアリと思い浮かばせてくれる。
一人の主人公「梁文秀」は言う。
僕らのなすべきことは、決して施しであってはならなかった。日照りの夏はともに涙を涸(か)らし、凍えた大地の上をともに転げ回ることこそ、彼らの中から選ばれた政治家の使命なのだということに、僕はついぞ気付かなかった。
どこかの国の政治家と官僚に聞かせてやりたい言葉だ。
運命を信じて、はたまた運命に抗いながら、歴史のうねりの中で、それぞれの人物がそれぞれに自分の存在を確かめるべく、何かを背負って生きている。運命を自ら切りひらいた者だけが手にすることができる蒼穹の昴なのだ。
本書は、如何に強く生きるかということの大切さを教えてくれているのではないだろうか。
ぜひぜひ ご一読を!
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