2012年2月27日月曜日
いのちなりけり
葉室麟著「いのちなりけり」を読む。
[E:book]「何度生まれ変わろうとも、咲弥殿をお守りいたす」 上意討ちの命で、最愛の妻の父を狙わねばならなかった男の赤心。水戸藩と幕府の暗闘のさなか、引き裂かれた夫婦が再びめぐり合う-。あのとき桜の下で出会った少年は一体誰だったのか――鍋島と天源寺の因縁がひと組の夫婦を数奇な運命へと導く。“天地に仕える”と次期藩主に衒(てら)いもなく言う好漢・蔵人と“水戸に名花あり”と謳(うた)われた咲弥はたった1つの和歌をめぐり、命をかけて再会を期すのだが――。水戸光圀公と将軍綱吉の関係が厳しい緊張の様相を呈すなか、思わぬ政争の具となりながら、懸命にそして清々(すがすが)しく生きる武士の姿を描いた。
春ごとに花のさかりはありなめどあひ見むことはいのちなりけり
この歌を求めて一生を生き、刺客との闘いに傷つき、それでも咲弥の待つ上野寛永寺へと進む蔵人の姿は感動的である。これはとにかくおすすめの一冊です。
2012年2月25日土曜日
秋月記
葉室麟著「秋月記」を読む。
[E:book]筑前の小藩・秋月藩で、専横を極める家老・宮崎織部への不満が高まっていた。間小四郎は、志を同じくする仲間の藩士たちとともに糾弾に立ち上がり、本藩・福岡藩の援助を得てその排除に成功する。藩政の刷新に情熱を傾けようとする小四郎だったが、家老失脚の背後には福岡藩の策謀があった。藩財政は破綻寸前にあり、いつしか仲間との絆も揺らぎ始めて、小四郎はひとり、捨て石となる決意を固めるが―。
広瀬淡窓の歌「蘭」
孤り幽谷の裏に生じ
豈世人の知るを願はんや
時に清風の至る有れば
芬芳自ずから持し難し
��奥深い谷間に独り生え、世間に知られることを願わない。しかし、一たび、清々しい風が吹けば、その香りを自ら隠そうとしても隠せない
この歌をもって小説の根底に一人の人間の生き様を描き出す。その姿は、まさに「生き様」であって、単純な「生きた姿」ではない。ある意味で、人間としての矜持や筋を通すことで抱え込む苦悩の中でも、「流されていかない姿」なのである。
[E:book]筑前の小藩・秋月藩で、専横を極める家老・宮崎織部への不満が高まっていた。間小四郎は、志を同じくする仲間の藩士たちとともに糾弾に立ち上がり、本藩・福岡藩の援助を得てその排除に成功する。藩政の刷新に情熱を傾けようとする小四郎だったが、家老失脚の背後には福岡藩の策謀があった。藩財政は破綻寸前にあり、いつしか仲間との絆も揺らぎ始めて、小四郎はひとり、捨て石となる決意を固めるが―。
広瀬淡窓の歌「蘭」
孤り幽谷の裏に生じ
豈世人の知るを願はんや
時に清風の至る有れば
芬芳自ずから持し難し
��奥深い谷間に独り生え、世間に知られることを願わない。しかし、一たび、清々しい風が吹けば、その香りを自ら隠そうとしても隠せない
この歌をもって小説の根底に一人の人間の生き様を描き出す。その姿は、まさに「生き様」であって、単純な「生きた姿」ではない。ある意味で、人間としての矜持や筋を通すことで抱え込む苦悩の中でも、「流されていかない姿」なのである。
こまくさ 懇親会
2012年2月14日火曜日
芦ノ湖パノラマ写真
箱根旅行2日目
2日目は、九頭龍神社(箱根神社境外摂社)月次祭へ。遊覧船にて神社へ向かいます。
↑ 左が箱根神社 平和の鳥居。右が九頭龍神社の湖水の鳥居です。今日は人出が少ないとのことですが、300-400名はいました。月次祭は約1時間。
さすがに、足の指が寒さで感覚がなくなりました。
修祓・献饌・大祓詞・祝詞・玉串奉納と・・ありまして湖水神事となり、神饌を湖中に捧げます。参拝者も頂いた御供を湖中へ。
九頭龍神社近くの「白龍神社」も参拝しました。
小さな祠です。そこから歩いて「箱根園」へ。次の目的地は、駒ケ岳山頂 箱根神社元宮です。ここからの眺めも絶景でした。
今日は、曇りがちでしたが少しずつ晴れてきたほうなのです。朝は駒ケ岳の影も形も見えない程でしたから。
山頂に元宮がぽつんとあります。標高1357m。思い切り冷たい風が頬を殴りつけます。
山を降りる時に少しだけ富士山が見えてきました。
「箱根園」からは再び遊覧船により箱根町経由で元箱根へ。最後の目的地「箱根神社」へ向かいます。
↑ 左が一の鳥居(大鳥居)右が二の鳥居。↓下が三の鳥居です。
国幣小社 「箱根神社」の現在のご祭神は、箱根大神(瓊瓊杵尊・木花咲耶姫命・彦火火出見尊)。古代よりの山岳信仰の霊地でかつては箱根権現、三所大権現と称していました。神紋は、「三つ割り菊」です。
神域は、杉並木により凛としていました。
最後に平和の鳥居を撮影して終了。いえいえ、ここには松陰先生の句碑があるのです。
「箱根山 越すとき汗の 出でやせん 君を思ひて ふき清めてん」これは、吉田松陰先生が幕府の命で再び江戸へ(処刑のため)呼び戻される直前に、高須久子さんに交わした歌ですね。野山獄にともに投獄されていた時に知り合った、生涯ただ一人「恋」心を抱いた女性と言われています。意外なものを見て感動です。
これにて、箱根旅行無事終わりです。堪能しました。
2012年2月13日月曜日
箱根旅行1日目
1年前、予定していた「箱根旅行」の前の週に「東日本大震災」が起こり、当然ながらキャンセル。一年越しの今年は、かみさんの誕生日に合わせて出かけることにした。小田急ロマンスカーに乗っていざ出発。新宿駅で、切符を購入。なんと展望席前から2列目が空いていた。ラッキー。ネットでは売り切れだったのに。初めて乗る「小田急線」の景色や、経堂から喜多見までの「鹿島神宮-富士山(夏至のレイライン)」の一直線を確かめながら、箱根湯本へ。
箱根湯本からは「登山電車」で強羅駅まで。3度のスイッチバックを行いながらの30分。ここからバスで第一の目的地「ポーラ美術館」へ向かう。まずは芸術の箱根を堪能。
「ポーラ美術館」では、<印象派の行方~モネ・ルノワールと次世代の画家たち 展>が開催されているのだ。じっくり鑑賞した後、ここでランチ。再び強羅駅へ戻り、ケーブルカー・ロープウェーを乗り継いで「大涌谷」へ。
大涌谷が見えてくる尾根を境に壮大な景色が拡がる。でた!!富士山。
感動!!これが見たくて冬の箱根を選んだのだ。「大涌谷」では、お決まりの黒たまごを頂きました。中は、普通のゆでたまごでしたネ。
ここから、さらにロープウェー(下り)で芦ノ湖へ向かいます。
そして、海賊船で「芦ノ湖遊覧」。
箱根町まで30分の優雅な乗船。いやいや風が冷たくて、震えながらの撮影でした。
箱根町では箱根の関所を後に旧街道の杉並木を歩きながら、元箱根へ向かいました。
今日のお宿は「芦ノ湖旅館 和心亭 豊月」です。部屋から箱根神社一の鳥居が見えます。
日曜日とあって、お風呂は夜・朝ともに貸切状態でした。夕食は、優雅な懐石。かみさんは、食後にタラソテラピーでくつろぎました。そして、事前に「誕生日」と告げていると、宿からかみさんにプレゼント。
これには、感謝です。ということで1日目終了。とにかく晴れ男ブリを発揮し、絶景の富士山を堪能できたので言うことなしです。明日は、いよいよ「九頭龍神社_月次祭」です。
2012年2月10日金曜日
上弦の月を喰べる獅子 上・下
夢枕漠著「上弦の月を喰べる獅子 上・下」を読む。
[E:book]あらゆるものを螺旋として捉え、それを集め求める螺旋蒐集家は、新宿のとあるビルに、現実には存在しない螺旋階段を幻視した。肺を病む岩手の詩人「宮沢賢治」は、北上高地の斜面に、彼にしか見えない巨大なオウム貝の幻を見た。それぞれの螺旋にひきこまれたふたりは、アシュビンとなり混沌の中でおのれの修羅と対峙する……ベストセラー作家、夢枕獏が仏教の宇宙観をもとに進化と宇宙の謎を解き明かした空前絶後の物語。第10回日本SF大賞受賞作。
「汝は何者であるか?」あるいは「私は何者であるか?」。「人は幸せになれるか?」「野に咲く花は幸せか?」そんな禅問答が続く。金輪、須弥山、兜率天という仏教の言葉も・・・。物語の構造自体が中核的なイメージである螺旋、しかも二重螺旋の形をしている。さまざまな神話や科学上の発見・逸話が語られ、螺旋が大いなる意味を持つ象徴としてこの本の中心にすえられる。かなりの難解さに頭痛がしてきた。
一年後にもう一度読んでみよう。
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