2015年3月21日土曜日

華、散りゆけど 


海道隆一朗著「華、散りゆけど」を読む。

時は慶長、大坂の陣。眼下には大地を埋め尽くさんばかりに徳川勢の旗幟がはためく。真田幸村は己の造った出丸に立ち、苛烈な戦場を見据えていた。身に纒うは朱一色の戦装束。狙うは家康の首級ただひとつ。武士に生まれし者の宿命、見事に命の華を咲かせ、武名の芳香を遺そうぞ―たったふたつの戦にすべてを賭けた、稀代の智将の壮烈な生きざまを、濃密かつ流麗な筆致で描ききる戦国歴史巨編。
ほぼ全編、九度山から降り大坂夏の陣で自刃するまでの後半生を描く。

「花は散りゆけど、その香は残る。されど、われらは死花に非ず!」―父・真田昌幸の言葉を胸に幸村 乾坤一擲の勝負。家康本陣への奇襲は、本書 前半に「布陣図」がありよく理解できた。武士としての「矜持」を貫いた男の最期は美しい。


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