2008年9月14日日曜日

沙中の回廊

1_2 2 宮城谷昌光「沙中の回廊」を読む。春秋戦後時代、晋の文公(重耳)の車右から宰相にまでなった士会を主人公とした話である。士会は法律を司る家に生まれ、教養を大切にする一家にあって、武道にすぐれた精悍な青年に育つ。そして勇猛と誠実な人柄から軍人として一歩一歩出世していくのだ。その兵略は右に出るものはなく、戦って負けない。徳と礼を重んじる市会の軸が全くずれない生き様は「才徳」という言葉がぴったりだろう。



さて本書には、様々な警句(アフォリズム)が含まれている。そして春秋の五覇といわれる晋の文公、秦の穆公、楚の荘王の3王が登場する、わくわくする時代でもある。「三舎を避ける」「鼎の軽重を問う」「鳴かず飛ばず」などの格言も物語を彩る。弗(ふつ)という、士会の最初の家臣であり、後に家宰となる人物の洞察力、士会を引き上げた宰相先軫の生き様も見事であった。是非ご一読を!



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