隆慶一郎著「一夢庵風流記」を読む。[E:book]戦国末期、天下の傾奇者(かぶきもの)として知られる男がいた。派手な格好と異様な振る舞いで人を驚かすのを愉しむ男、名は前田慶次郎という。巨躯巨漢で、一度合戦になるや、朱色の長槍を振り回し、敵陣に一人斬り込んでいく剛毅ないくさ人であり、当代一流の風流人でもあった。そして何より、自由を愛するさすらい人でもあった。故あって、妻子を置き旅に出た男の奔放苛烈な生き方を描く時代長編。作者が「慶次郎」を真の男としてみており、滅びの美学を見出したところがおもしろい。そして、それは、底根国に去る素戔嗚尊に求めるくだりがまずは、ひきつけられた。書記に云う「辛苦(たしな)みつつ降りき」。素戔嗚尊の後ろ姿が見たのか。爽快感の残る小説でおすすめです。
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