2007年1月13日土曜日

陋巷(ロウコウ)に在り

Roukou 春秋戦国時代、孔子最愛の弟子・顔回を主人公にした大河歴史小説にして、一大サイキック伝奇巨編、酒見賢一「陋巷に在り:全13巻」読み終えた。流石に12月頃から読みはじめひと月近くかかってしまった。聖人と教えられてきた「孔子」の人間臭さや、顔回が何故第一の弟子なのかを裏付ける独特の世界観がすばらしかった。「儒教」の儒とは、もとは雨乞いをする巫祝という白川静先生の解を元に、原儒(シャーマン)の出である顔回の圧倒的な深さ・強さをまざまざと見せつけ物語に引き込んでくれる。おみごと!!というほかない。夾谷の会に始まり、陽虎(陽貨)のクーデター、三都毀壊・女楽事件などを交えながら、出魯までを描くが、原儒と孔子儒と分け、「怪力乱神を語らず」の孔子の姿とそれを唯一知る顔回との信頼関係が垣間見えて思わずほくそ笑んでしまう。この小説を読めば、何故、孔子が顔回の死に際して「慟し」たかわかるであろう。



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