2007年3月22日木曜日

魏徴

Photo_17「隋唐演義」1~5巻 田中芳樹 を読み終えた。10年以上まえに安能務のものを読んだが、すっかり忘れていたので楽しく読むことが出来た。ある有名な言葉が、本書に登場せず残念に思うので書いておきたい。



魏徴 その人の名句である。魏徴は、字玄成は鉅鹿の人。
唐の太宗の諫言官として死を恐れず直諫し続け、貞観の治の佐けとなった。 そもそも魏徴は、唐の反対勢力 李密の部下であり、帰順後は太宗李世民が兄の隠太子と弟の元吉を玄武門のクーデターで殺した時に太子派の参謀長として死ぬはずだった。それが赦されて太宗皇帝の第一の側近となったばかりか、皇帝に対して敢えて反対意見を言う役目を仰せつかった。出世を思わず、死をも恐れなかった魏徴だが、その人を使いこなす天子がいてこその、この述懐である。



唐に帰順まもない時、高祖 李淵の絶対なる信頼に感激しての「述懐」である。



中原初逐鹿 中原、初めて鹿を逐い
投筆事戎軒 筆を投じて戎軒を事とす
縦横計不就 縦横の計はならざれども
慷慨志猶存 慷慨の志はなお存す
杖策謁天子 策によって天子に謁し
驅馬出関門 馬を駆って関門を出ず
請纓繋南粤 纓を請うて南粤を繋ぎ
憑軾下東藩 軾によって東藩を下さん
鬱紆陟高岫 鬱紆、高岫にのぼり
出没望平原 出没、平原を望む
古木鳴寒鳥 古木に寒鳥鳴き
空山啼夜猿 空山に夜猿啼く
既傷千里目 既に千里の目を傷ましめ
還驚九逝魂 還た九逝の魂を驚かす
豈不憚艱険 あに艱険を憚らざらんや
深懐國士恩 深く国士の恩をおもう
季布無二諾 季布に二諾無く
侯エイ重一言 侯エイは一言を重んず
人生感意気 人生、意気に感ず
功名誰復論 功名、誰か復た論ぜん



よく使われる 人生 意気に感ず とは、ここから出ている。



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