2012年7月21日土曜日

愛憎の王冠 上・下 / 宮廷の愛人 上・下

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ブーリン家の姉妹シリーズ「愛憎の王冠 上・下」「宮廷の愛人 上・下」を読む。
「愛憎の王冠」は、6人もの妻を娶ったイングランド国王ヘンリー8世亡き後、王位を継いだエドワード6世が病弱だったゆえ、水面下では継承者争いが勃発。最初の王妃キャサリン・オブ・アンゴラの娘メアリー(メアリー1世)<のちにブラディ・メアリーと謳われた>と、二番目の王妃で悪名高きアン・ブーリンの娘エリザベス(エリザベス1世)を中心とした醜い争いに、ダドリーをはじめとする貴族らが激しく絡む。女王に道化として仕えたハンナの目を通して語られる裏切りと愛憎の物語。
本書の魅力は、スペインの異端審問所の手を逃れてイングランドにたどり着いた、改宗ユダヤ教徒の娘で、予言能力を持つ少女ハンナという架空の人物を登場させ、彼女の目を通して進展してゆく物語を読者が展開されるというところだ。
メアリー=カトリック、エリザベス=プロテスタント、ハンナ=ユダヤという構成になる。また女性と生き方についてもこの構成が生きてくる。チューダー王朝物語は、ドロドロしていて面白い。この時代からパパラッチが幅を聞かせていたと考えのも楽しい。

1_22_4シリーズ3作目の「宮廷の偉人」は、まさに不倫の物語。
アン・ブーリンの娘エリザベスが念願のイングランド女王に即位する。国の安定を求めて国内外の権力者との結婚を進言する国務長官ウィリアム・セシルをよそに、エリザベスは幼なじみで国賊の汚名を被るロバート・ダドリーに夢中だった。ダドリーもまた、貞淑な妻エイミーをないがしろにし、宮廷に入り浸る。恐ろしいほど激しい人間関係を描いた、史実に基づく壮絶な物語。
しかし、ここまで書いて大丈夫というほどのエリザベスの醜態ぶりが延々と続く。イングランドにゴールデン・エイジをもたらした偉大な女王の若き恋する弱き女性の姿は読み物としては一見。週刊誌を読む感覚で。エリザベスの偉業の立役者としてのウィリアム・セシルの存在が大きいことがよくわかる。ヒヤヒヤ感でお読みください。



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