2008年5月5日月曜日

北風に起つ

Photo 黒岩重吾「北風に起つ~継体天皇と蘇我稲目」を読み終える。継体天皇の即位には多くの謎が隠されており興味は尽きないが、そこは置いといて、この小説は、いかのようなあらすじ。



大和の大王(現天皇)家が雄略で途絶えてしまったので、大伴金村が画策し、北陸の地方豪族で大王家と薄い血縁の男大迹王(後の継体天皇)を大王として招聘しようとしたが、大和の諸豪族は、蛮族である男大迹王を認めない。山城(現京都府南部)まで出てきた男大迹王だったが結局大和には入れず、遂に追われるように弟国宮(現大山崎町あたり)まで撤退してしまう。大伴氏を勢力を削ぎつつ、如何にして蘇我氏の基盤を拡大してゆくべきか。その能力を存分に発揮した、蘇我稲目が物部尾輿と組んで、継体天皇の大和入りに手を貸し、その後の隆盛の基礎るというもの。



継体天皇の器の大きさ、稲目の将来を見据えた戦略には目を見張るものがある。連(むらじ)と臣(おみ)の違いもこの本でよく理解することができた。黒岩氏は多くの古代日本史の小説を書いており、昔に「天の川の太陽」「茜に燃ゆ 小説額田王」「天翔ける白日 小説大津皇子」「紅蓮の女王」などを読んだが、この一冊は読み忘れていた。中々、興味深い一冊であった。



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