2008年5月21日水曜日

孔子物語

Photo_2 中国人:丁寅生「孔子物語」を読む。5月の新刊だ。原書は、1935年、「孔子演義」とういものらしい。中国伝統の章回形式で書かれたものを、小説風に訳したのが本書。孔子の放浪の生涯を事実とされるエピソードと論語の言葉を散りばめながら、わかりやすく孔子の教育者としての姿、諸国に受け入れられなかった理由などを描いている。エピソードの中には、少し解釈が疑問なものもあるが、人間孔子としての姿がそこにある。弱気な孔子・ユーモアを解す孔子・怒れる孔子などなど。孔子を知る上でかなりわかりやすい本ではないだろうか。孔子は、中華の文化伝統を担ってゆく使命を天から授かっている者という自覚のもと、世直しを志、長い年月をかけ諸国を放浪しつづけ、人間の建て直しをめざして王たちを説きつつ、若い世代の弟子たちの教育に力を注いだ。やはり、弟子たちの目の前に自己の全てをさらけ出しながら、「これ丘なり」[論語・述而]というをはばからぬ人であったのだ。先に呼んだ白川静先生の「孔子伝」とともに是非、読んでいただきたい。孔子一番の弟子、顔回との掛け合いが少なかった所は少し残念であったが。



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