山田風太郎著「魔群の通過」読み終わりました。「義烈千秋 天狗党西へ」「天狗争乱」に続き、勝手に決めた天狗党を読もうシリーズ3作品目です。
[E:book]尊皇佐幕の藩論統一を巡って、骨肉相食む「内戦」を戦い、二千人とも五千人ともいわれる死者を出した水戸天狗党の乱。敗残の武田耕雲斎、藤田小四郎らは八百余名の残兵を率い、雪と氷の道無き山中、京へ向かう死の大長征を開始した…。維新史最大のタブーに真正面から挑む異色歴史巨篇。
こちらは、水戸藩攘夷派の首領であった武田耕雲斎(後にやむなく天狗党へ)の子 武田猛(当時15歳)が講演をするという形で話が進んでいきます。本書は、小説の薬味として二人の女性を登場させクローズアップしているところが面白いです。天狗党の敵、幕府軍総督・田沼玄蕃頭の妾であるおゆんと諸生党軍首領・市川三左衛門の娘であるお登世。この二人の女性が最後まで物語に関係してくるとは思いもよりませんでした。明治元年から明治20余年までの最後の章「討つもまた討たれるもまた」。天狗党の登場人物は家族も含めて全員が虐殺された。生き残ったのは二人の少年、語り手と武田金次郎であり、幽鬼と化した金次郎の復讐の物語です。ここで、この物語の裏側にあったもうひとつの真実が劇的に明らかにされる、ミステリーで言えばドンデンガエシが決まった。最後の最後まで目を離せない小説でした。
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