あの三国志の時代が終わり、統一国家 晋も衰亡の道を辿っていた戦乱が続く四世紀の中国。未だかつてなかった民族融和の大志を掲げ、中国統一にもっとも近づいた前秦の皇帝・符堅と臥竜の軍師・王猛を描く。符堅は、殺戮と復讐が繰り返される五胡十六国時代の中国で、民族融和の壮図に挑んだ不世出の名君である。中国には、本当に歴史に埋もれていはいるが、すぐれた人物が多くいる。文庫本派の自分であるが、たまらずハードカバーを手にしてしまった。
2009年1月25日日曜日
2009年1月11日日曜日
北條龍虎伝
伊豆、相模の両国を治め、さらに武蔵国を攻略する北條氏。いま、その根城・河越城は、関東の諸勢力八万五千の大軍に囲まれていた。城を守るのは、焔虎の異名をとる猛将・北條綱成だったが、味方はわずかに三千。北條家三代目の惣領として氷龍と仰がれる北條氏康は、これを救うのか、見捨てるのか。氏康、綱成の絆と北條氏を関八州の覇者へと導いた乾坤一擲の戦いが始まる。
なぜ伊勢氏が、北條家を継いだのか?
なぜ北條家が、鶴岡八幡宮を再建したのか? 本書を読んでよくわかった。また、関東における二人の公方の関係なども詳しく書かれている。ここは、小説としてはかったるい部分なのだが・・・。
物語は若き日の氏康と妹婿綱成の絆、塚原卜伝や風間小太郎との出会いなどを織り交ぜながら史上に名高い「河越夜戦」へと再び戻ってゆく。これはまさに、名君と謳われた氏康の青春小説というべきものだろう。あっという間に読み終えた。
2009年1月3日土曜日
蒼穹の昴
中国清朝末期、貧しき糞拾いの少年・春児(チュンル)は、占い師の予言を信じ、科挙の試験を受ける幼なじみの兄貴分・文秀(ウェンシウ)に従って都へ上った。都で袂を分かち、それぞれの志を胸に歩み始めた2人を待ち受ける宿命の覇道。
あまり触れることのない清朝の有り様、科挙の過酷さ、宦官の実態、満州旗人の出自など詳細さを極め、登場人物の個性を余すとことなく表現している名作だと感じた。列強進出の中、落日を迎える清王朝のもがき苦しみと同時に西太后の隠された一面を、ドラマを見るがごとき、アリアリと思い浮かばせてくれる。
一人の主人公「梁文秀」は言う。
僕らのなすべきことは、決して施しであってはならなかった。日照りの夏はともに涙を涸(か)らし、凍えた大地の上をともに転げ回ることこそ、彼らの中から選ばれた政治家の使命なのだということに、僕はついぞ気付かなかった。
どこかの国の政治家と官僚に聞かせてやりたい言葉だ。
運命を信じて、はたまた運命に抗いながら、歴史のうねりの中で、それぞれの人物がそれぞれに自分の存在を確かめるべく、何かを背負って生きている。運命を自ら切りひらいた者だけが手にすることができる蒼穹の昴なのだ。
本書は、如何に強く生きるかということの大切さを教えてくれているのではないだろうか。
ぜひぜひ ご一読を!
2009年1月2日金曜日
丑年
あけましておめでとうございます。
歳男もあっという間に終わり、いよいよ四苦八苦の49歳へ向かう「丑年」を迎えた。昨年の未曾有の金融危機。今年は如何なる激動となるのか末恐ろしい気がする。丑の「ブル」に免じて、株式相場も回復してれないかと願うばかりだ。今年は、どこも会社人として平時ではなく有事だという心構えで臨まなくてはならないだろうと思う。人事を尽くして天命を待つ!
2008年12月21日日曜日
地球が静止する日
暇な日曜日、キアヌ・リーブス主演「地球が静止する日」を観にいってしまった。
任務遂行のため、ロボットの“ゴート”を従えて地球に降り立った人間型異星人“クラトゥ”。政府や科学者たちが謎の解明に奔走する中、ある女性と義理の息子は、クラトゥの任務に巻き込まれていく。そして二人は“地球史上最大の危機”が、今まさに訪れていることに気付く…。
言わずとしれた人間文明の発展のもたらす地球崩壊へのアフォリズムがテーマだ。「地球を救うために、人類を滅ぼしにきた。」衝撃的なこの言葉で我々に警告を与える。内容はこの後鑑賞される方のために書かないが、それにしても予告編というものはすごい。実際はそれ程良くないし、説得力もなかったが、予告編では見てみようかという気にさせられた。悔しい!
一つだけ強く感じたのは、この手の映画に必ず見られる米国の「米国至上主義」という傲慢さだった。
さあ、今日は、サッカデーだ。クラブワールドカップ3位決定戦・決勝の2試合、十分楽しもう!!
奔流
時は六世紀初頭、南北朝時代。、中国史上、屈指の血戦「鐘離(しょうり)の戦い」を中心に、若き天才将軍「陳慶之」の戦いぶりとその陰に散った男装の麗人との悲恋を描く歴史スペクタクルの傑作。日本ではあまり紹介されることのない中国の歴史上のエピソードを発掘であろう。後漢滅亡後、隋の天下統一までの間、様々な国が勃興していく中から北朝の「北魏」と南朝の「梁」の激突を描き、「戦えば必ず勝ち、攻めれば必ず落とす」とまで言われた天才将軍「陳慶之」。その他、仙人のような知将や、巌のような猛将、女好きの勇将やら、どんくさい名将に、妖艶な女将まで、各種取り揃えた将軍たちの鮮やかな描写が読みどころだ。ラブストーリーは付けたし。
陳慶之はこの物語の後年、わずか七千騎の兵で北朝の首都である洛陽を陥落させている程の天才なのだ。白袍隊という騎馬隊を率いて数々の戦場で活躍し、死ぬまで不敗だったというのだから、その凄さは右に出るものはない。是非ご一読を!
2008年12月14日日曜日
2008年12月12日金曜日
アレクサンダーの暗号
ウィル・アダムス著「アレクサンダーの暗号」を読む。アレクサンダーの墓は2300年たった今もまだ発見されていない。
本書は、アレクサンダー大王の墓と遺体の在処をめぐる時空を超えた歴史サスペンスである。物語は、紀元前318年のプロローグに始まり、一気に現代へ。
異端の考古学者ノックスは、伝説のアレクサンダー大王の失われた財宝をエジプトで探しつづけている。あるとき、地中海沿岸のアレクサンドリアで地下墓地の遺跡が発見された。最深部には謎めいた古代文字の碑文があり、その暗号を言語学者ガイユが解読したとき、2300年前のおそるべき陰謀があきらかに……!本当の王の墓は、今もどこかに存在するのか?莫大な財宝の匂いをかぎつけた組織の魔手が、ノックスとガイユの身に迫る。
ふたりは命を賭けて、この大いなる謎の正体に挑んでゆくが……。
2008年12月8日月曜日
同支店会?
今週は、水戸時代に一緒に課長として働いていた、N氏、I氏、M君が宮崎へ。目的は焼酎と地鶏と、そしてゴルフ。ゴルフは、青島ゴルフ倶楽部とフェニックスカントリーのトーナメントコースを選択。夜は地鶏や焼酎で。久しぶりの思い出話に時間を忘れて語り合った。皆単身赴任で、いつも仲良くしてしたこともあり(今も皆単身赴任だが)、話はつきない。ゴルフは、残念ながら、N氏が身内の不幸で2日目は断念。I氏の帰りの飛行機の関係でフェニックスでは、17番で打ち切りという残念な結果となったが、仲のよい仲間と楽しい時間を過ごした。面白いもので、昔の仲間とゴルフをすると、スコアも昔に逆戻り、ひどいスコアとなった。もう二度とやらないぞ!といいつつ、今度は年明け関東でやることにした。また、楽しみが増えた。
2008年11月30日日曜日
シェエラザード
シエエラザードとは、アラビアの千夜一夜物語を語る王女の名前。暴君シャリアール王は
さて、この小説は、昭和20年4月、国際法上の安全保障を約束されていたにも関わらず。米潜水艦クィーンフィッシュに沈められた「阿波丸」の悲劇を題材に作られたものである。
昭和二十年、嵐の台湾沖で、二千三百人の命と膨大な量の金塊を積んだまま沈んだ弥勒丸。その引き揚げ話を持ち込まれた者たちが、次々と不審な死を遂げていく―。いったいこの船の本当の正体は何なのか。それを追求するために喪われた恋人たちの、過去を辿る冒険が始まった。日本人の尊厳を問う感動巨編。その豪華客船が使われた目的は驚くべきものだった。さて本当の目的は何なのか。そして引き上げを依頼してきた謎の中国人の正体は。冒険小説でありながら、誇りを持って美しく生きることの意味を考えさせられる本書あった。ぜひご一読を。
2008年11月24日月曜日
結婚式
2008年11月22日土曜日
日本でいちばん長い日
半藤利一の「日本でいちばん長い日」を読む。前に読んだ、「日輪の遺産」により、S20.8.15に何が起こったかを書いたこの本がどうしても読みたくなったのだ。映画にもなり話題となったらしい。昔からいつか読むつもりでいたが、とうとう こんにちに至った。昭和20年8月14日正午から24時間の内に起きた出来事を、埋もれていた資料をもとに再現した完全なノンフィクションだ。如何にして終戦がなったか、またそこに多くの葛藤が存在したかがわかる。
「今日の日本および日本人にとって、いちばん大切なものは”平衡感覚”によって復元力を身につけることではないかと思う。内外情勢の変化によって、右に左に、大きくゆれるということは、やむをえない。ただ、適当な時期に平衡をとり戻すことができるか、できないかによって、民族の、あるいは個人の運命がきまるのではあるまいか」と昭和40年に大宅荘一氏は書いている。その言葉は、いつの時代も、そう今でも間違いなく言えることではないか。
2008年11月14日金曜日
日輪の遺産
帝国陸軍がマッカーサーより奪い、終戦直前に隠したという時価200兆円の財宝。老人が遺(のこ)した手帳に隠された驚くべき真実が、50年たった今、明らかにされようとしている。
この紹介文を見た時、アドベンチャー風の推理物だと思っていた。まさか涙する小説であったとは・・・・
マレーの虎「山下奉文将軍」の財宝伝説を題材に、終戦時の真実の愛国心、真の教育者の姿がそこに描かれている。軍人としての使命と人間としての倫理の狭間で揺れ動く心。当時と現代(10年位前)を織り交ぜて進む物語に思わず吸い込まれていった。最後まで読んで、そこにあった真実の「遺産」とは何であるかを考えさせられた。是非ご一読を!
日教組の方々は特にといいたい。
2008年11月10日月曜日
ブーリン家の姉妹
「ブーリン家の姉妹」を観に行く。ローマ・カトリック教会と決別しイングランド国教会を創設することとなったヘンリー8世には、6人の王妃がいたが、その中でも後のエリザベス1世の母親アン・ブーリンとその妹メアリーの悲しい一生を描いた映画である。アン・ブーリンは、ドニゼッティのオペラ「アンナ・ボナーレ」にもなっている。
姉妹の父トーマス・ブーリン卿は一族繁栄のために才気あふれる美しい娘アンを国王ヘンリー8世の愛人に差し出すことを目論む。ところが、王の心を捉えたのはアンの妹で凡庸だが気立ての良いメアリーだった。一家は宮中に移り住み、メアリーは王の子を身籠る。一方、妹に栄誉を奪われたアンは一時フランスへ追放されるが、やがて呼び戻され、大胆にも王妃の座を狙って策略を巡らすのだ。結婚していないメアリーの息子は単なる庶子ということになるのだ。しかし、世継ぎとなる男子を産まなければ価値を認められない。・・・・
最後は、ブーリン姉妹の最後は如何に?
2時間はあっという間に過ぎる、メロドラマ風であるがナタリー・ポートマン(アン・ブーリン役)の目力は圧巻。この時代の貴族社会の裏側を見せる悲劇の物語。おもしろかった。
2008年11月8日土曜日
地球の反対側から
2008年11月3日月曜日
初の30台そしてイーグルも
本日は、「UMKカントリー倶楽部」にてプレー。このところ不調だったドライバーが、嘘のように好調。少し短めに握ったのが功を奏したのだろう。3番ミドル、8番ロングでバーディー。前半OUTは見事2オーバーの38。人生初の30台でした。やりました。とうとう開眼したかと思っていたのもつかの間、後半は、プッシュアウト気味のボールが多く、ボギー、ダボが続く。しかし最終par5、8アイアンでの3打目、トップ気味にでたボールが、花道を見事にかけ上がりナイスオン。これはまたバーディーチャンスと近寄っていくと、なんとピンとカップの縁に挟まれているではないか。記念にキャディーさんに入れてもらうとした矢先、コロン。イーグル達成。華麗なショットではなく、ミスショットでのラッキーショットだが、イーグルはイーグルだ。万歳!!結局、不調のINは46で、ベストの更新はならず84。しかし実に気分の良いゴルフであった。
2008年11月2日日曜日
映画「レッドクリフ partⅠ」
本日、初日上映の「レッドクリフ partⅠ」を早速観にいった。ファーストデイなので1000円。これはラッキーでした。上映時間 2時間25分、あっという間に終った。うーん正直、娯楽映画だから、こうするしかないかという印象で、三国志としては、今ひとつだが「小喬」がすごく綺麗だったので許そう。
PartⅠでは、肝心の赤壁の戦いの前までしか描かれていない。それならば、新野での孔明の本当の計略や、当陽の長坂の橋での張飛の名場面は欲しかったところだ。
クライマックスの九官八卦の陣(八門金鎖の陣)は、魏の曹仁の策で、孔明の前に劉備の軍師をしていた徐庶が破るというシーンで登場するということを書いておきたい。決して孔明の計略ではないのだ。しかし、映画の戦闘シーンとしてはおもしろかった。
関羽・張飛は、いかにもというキャスティングで最高でした。
映画では、曹操が「小喬」を奪うために呉に攻め込むという描き方をしているが、曹操はそんなチンケな男ではないことも付け加えておく。江東の二喬と謳われた、孫策の妻「大喬」と周瑜の妻「小喬」を曹操が共に侍らせたいと孔明が周瑜に語った(策略)ことに、周瑜が大いに怒り決戦を決意したというのが演義の話だ。そもそも、この二喬は、孫策軍の江南・江東平定の時に敵方から奪って妻にしたのであるから、お互い様で本当は怒って仕方ないことだが・・・・。それから、赤壁での対峙で、曹操軍が、間じかに見えるが、近すぎやしませんかぁ。赤壁あたりの川幅は、3~4キロいや昔は5キロはあったらしいのだか・・・。
などと、ぶつぶつ言いながら、来春のPartⅡも間違いなく観ることになるだろう。
2008年11月1日土曜日
平将門
高橋直樹「黎明の武者 平将門」を読む。
「都への租税は不要。坂東の富は坂東の発展のために使うべきなのだ。」圧倒的武力をもって平将門は立ち上がる。
坂東に武者だけの国を造ろうとした小次郎将門の壮絶な生き様を見事に描いた作品であった。またこれは、将門に立ちはだかる幼馴染「平貞盛」との闘いでもあった。
非常にスピード感のある小説です。登場するキャラクターも面白い。是非ご一読を!
2008年10月30日木曜日
霧島岑神社
小林市へ出かけた帰りに5分程、神社にお参りに。
霧島六社権現の一つ「霧島岑神社」へ。御祭神は(瓊瓊杵尊、木花咲耶姫、彦火火出見尊、豊玉姫、鵜草葺不合尊、玉依姫)。参道の入り口に仁王像が立つ。そこから、長い階段を登ったところに境内がある。静かな境内へ入り口の、高く高く聳える杉は印象的だ。
現在の岑神社は、夷守(ひなもり)神社合併されたもので、霧島六社権現とは、霧島神宮・東霧島神社・狭野神社・霧島東神社・霧島岑神社の5つということになる。たぶん、高千穂峰そのものがご神体であったのだろう。
また、仁王像の仁王とは、金剛力士のことである。それは「金剛杵(こんごうしょ)(古代インドの武器を元にした密教の法具。あらゆる煩悩を打ち砕く象徴)を持つもの」の意味であります。2体は、金剛杵を持ち口を開いた阿形像(あぎょうぞう)と、口を閉じ宝棒を持つ吽形像(うんぎょうぞう)です。「阿吽の呼吸」とよく言われますが、阿は「あ」で言葉の始まり、吽の「ん」で言葉の最後で、法の始まりと究極とを象徴しているそうです。勉強にになります。
2008年10月26日日曜日
晋作 蒼き烈日
秋山香乃「晋作 蒼き烈日」を読む。
蹉跌と苦悩、矜持と自負からくる驕り、未来への切実な希望と理想。拭い去れない私欲も含め、長州きっての一代の英雄にして風雲児。、今日、日本があるのは彼のおかげといっていい男「高杉晋作」の人間という人間を見事に描いた、感動の巨編である。
久坂玄瑞との大儀で結ばれた友情、山田市之允への心の触れ合いと揺ぎ無い信頼。長州好きにはたまらないシーンの数々。その「山田市之允」がたぶん大好きでしょうがない作者は、必ずや高杉を描くと思っていたので、待ちに待った作品だ。
しかし本書で、目を引いたのは、妻「雅」への晋作の思いが、かくも多く描かれているところだった。他の作品では全くありえない。下関の芸者「おのう」と「雅」がでくわすシーンは、女流作家がなしえる深き哀愁であろうか。そんな晋作の歴史では見れない部分にまでこだわる作家の人間の描き方が気に入った。
「長薩同盟」へ流れる場面。裏切りとしたたかさを併せ持ち、幾多の辛酸を舐めさせられた、「狡猾にしてたただただ権力へ固執する薩摩」と敢えて日本の明日のためにと手を結ぶんだ、熱き晋作の赤心が見事に描かれています。
『僕が倒れても君たちがいる』松蔭の遺言ともいえる言葉。『君たちが僕の志を継いでくれる』あまりにも信頼に満ちた言葉である。あの信頼があったからこそ、どんなに膝をつくような出来事があっても、塾生たちは立ち上がることができた。決して困難に背を向けることなかった。常に前進し続けたその結果が再生した長州なのだ。
長州人ならずとも是非ご一読を!
秋山香乃 万歳!!