浅田次郎著「壬生義士伝 上・下巻」を読む。
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「死にたぐねえから人を斬るのす」新選組で、ただひとり庶民の心を失わなかった吉村貫一郎の非業の生涯を描く浅田次郎版「新選組」。
小雪舞う一月の夜更け、大坂・南部藩蔵屋敷に、満身創痍の侍がたどり着いた。貧しさから南部藩を脱藩し、壬生浪と呼ばれた新選組に入隊した吉村貫一郎であった。“人斬り貫一”と恐れられ、妻子への仕送りのため守銭奴と蔑まれても、飢えた者には握り飯を施す男。元新選組隊士や教え子が語る非業の隊士の生涯。浅田文学の金字塔。
子母澤寛の『新選組物語』「隊士絶命記」が元となっている。何人もの語り手により、その人物像を明らかにしてゆくという技法が良かったです。それにより、吉村貫一郎だけでなく、近藤・土方・斎藤といった多くの隊士の浅田次郎観が表現されていきます。
少し時間がかかりましたが、無名の隊士の物語としては、面白く読むことができました。
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